
Regenerative Medicine
「再生医療を調べていたら、幹細胞・iPS細胞・エクソソーム・培養上清液と名前が出てきて、結局どう違うのかわからない」——そうしたご相談をよくいただきます。
違いがわかりにくいのは、それぞれが体の中の別の段階に働きかけているためです。この記事では、当院院長が動画で解説した「修復因子をどう扱うか」という一つの軸で、5つの違いを整理します。
結論:この5つは「修復因子をどう扱うか」で整理できます
修復因子(内因子)とは、成長因子やサイトカインなど、体の修復に関わるとされる物質の総称です。この修復因子を基準にすると、名前の違いが位置づけの違いとして見えてきます。
- 幹細胞
- 修復因子をつくり出す細胞を入れる
- 培養上清液
- つくられた修復因子そのものを入れる
- エクソソーム
- 修復因子の一部だけを取り出して入れる
- PRP
- 修復因子を患部に呼び集める
- iPS細胞
- 修復ではなく、目的の細胞をつくる
※ 上記は治療の考え方を整理したものであり、効果を示すものではありません。
一覧で見る違い
| 名称 | 中身 | 修復因子との関係 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 幹細胞 | 細胞そのもの | 修復因子をつくり出す | 当院で提供(自家脂肪由来) |
| 培養上清液 | 細胞を含まない液 | 修復因子そのものを入れる | 当院で提供(点滴・点鼻・吸入) |
| エクソソーム | 細胞を含まない粒子 | 修復因子の一部 | 上清液から取り出したもの |
| PRP | 自分の血液の成分 | 修復因子を呼び集める | 第三種再生医療。主に関節など局所 |
| iPS細胞 | 細胞そのもの | 目的の細胞をつくる | 研究・一部で実用化段階 |
※ 当院で提供しているのは幹細胞治療と培養上清液治療です。エクソソーム単独の治療・PRP・iPS細胞による治療は行っていません。
iPS細胞だけは、目的がはっきり違います
iPS細胞は、体の細胞に特定の遺伝子を導入してつくられる細胞で、さまざまな細胞に分化させられることから万能細胞とも呼ばれます。やけどで損傷した皮膚をつくる、心筋梗塞で失われた心臓の筋肉をシート状につくって補う——つまりiPS細胞は目的の細胞そのものをつくるための技術です。
これに対して幹細胞・培養上清液・エクソソームは、体が本来もっている修復のはたらきを支える方向のアプローチです。ここで目的が明確に分かれます。なお当院ではiPS細胞を用いた治療は行っていません。
2026年3月、iPS細胞を用いた再生医療等製品が世界で初めて条件・期限付きで承認されました。承認の中身、幹細胞治療との違い、保険診療と自由診療の線引きについては、iPS細胞と幹細胞治療は何が違うのかで詳しくご説明しています。
幹細胞は「修復因子をつくる細胞」です
幹細胞とは
幹細胞は、自己複製し、さまざまな細胞に分化する能力をもつ細胞です。そして幹細胞は、エクソソームやサイトカインなど、多様な修復因子を自分でつくり出します。
年齢とともに減っていくと言われています
幹細胞の数は20歳前後をピークに、その後は加齢とともに減っていくと言われています。院長は動画のなかで、加齢の要因としてミトコンドリアの働き、腸内環境などを挙げたうえで、「幹細胞とそれがつくる修復因子が減ることで、体の修復が追いつかなくなる」という見方を示しています。
当院の幹細胞治療
幹細胞治療は、その減ってしまった側を足すという考え方の治療です。当院ではご自身の脂肪から採取した幹細胞を院内CPCで培養し、点滴で投与しています。
培養上清液は「幹細胞がつくった修復因子」を集めたものです
培養上清液とは
幹細胞を培養すると、幹細胞が放出した物質が培養液のなかに溶け出します。その上澄みを取り出したものが培養上清液です。細胞そのものは含みません。
幹細胞治療との違い
成長因子・サイトカイン・エクソソームなど、多様な修復因子を含むとされています。幹細胞治療と違い、ご自身の脂肪を採取する必要も、培養を待つ4〜6週間も不要です。そのぶん費用と身体的なご負担を抑えやすい選択肢になります。
エクソソームは、修復因子の中の一つです
エクソソームとは
エクソソームは、細胞が分泌する非常に小さなカプセル状の物質で、細胞どうしの情報伝達を担うとされています。培養上清液のなかにも含まれています。
このエクソソームだけを取り出して用いるのがエクソソーム治療です。
当院が培養上清液を用いている理由
院長は動画のなかで、修復因子は単独ではなく互いに協力し合って働くと考えられる、という見方を述べています。ある因子の働きを調べると、それを助けている別の因子が見つかる——そうした関係が積み重なっているという説明です。
この考え方から、当院では複数の修復因子を含む培養上清液を用いる方針を採っています。どの方法が適しているかは年齢・症状・ご希望によって異なり、他の方法を否定するものではありません。
PRPは「修復因子を呼び集める」治療です
PRPとは
PRP(多血小板血漿)は、ご自身の血液から血小板を多く含む成分を取り出して用いる方法で、再生医療等安全性確保法における第三種再生医療等技術に位置づけられています。変形性膝関節症など、関節の症状に対して行われることがあります。
院長の説明では、血小板は核をもたない細胞成分で、投与するとさまざまなシグナルを出します。そのシグナルによって、体のなかにある修復因子が患部に集まってくる——これがPRPの考え方だと整理しています。
3つの違いを言い換えると
つまり同じ「修復因子」を軸にしても、PRPは呼び集める、培養上清液はそのものを入れる、幹細胞はつくり出すものを入れる、という違いになります。なお当院ではPRPは提供していません。
では、どれを選べばよいのか
結論から申し上げると、症状・年齢・ご希望・ご予算によって異なります。どれか一つが常に優れているという性質のものではありません。
当院で提供しているのは2つです
当院で提供しているのは幹細胞治療と培養上清液治療の2つです。ご負担の少ない培養上清液からご相談いただき、経過を見ながら幹細胞治療を検討される方もいらっしゃいます。一方で、診察の結果、医学的に適応がないと判断した場合には、治療をおすすめしないこともあります。
まずは「自分の症状にはどれが選択肢になり得るのか」を、医師にご相談ください。
参考にした公的情報
本記事の制度に関する記載は、次の公的情報を参照しています。いずれも外部サイトが開きます。
- 厚生労働省「再生医療について」再生医療等安全性確保法の概要と、国の制度についての公式情報。
- e-Gov 法令検索「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」法律の条文そのもの。第1種・第2種・第3種の定義を確認できます。
- 厚生労働省 再生医療ポータルサイト再生医療等提供計画の届出状況などを調べられます。
よくあるご質問
培養上清液とエクソソームは何が違うのですか?
幹細胞治療と培養上清液治療は、どちらを選べばよいですか?
iPS細胞の治療は受けられますか?
PRPも再生医療なのですか?
エクソソームだけの治療についてどう考えていますか?
保険は使えますか?
オンラインでも相談できますか?
動画でも解説しています
この記事の内容は、当院院長と培養士が対談形式で解説した動画をもとに構成しています(約8分)。
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どれが自分に合うのか、医師にご相談いただけます
費用のご質問だけでも構いません。その場でお決めいただく必要もありません。
適応がないと判断した場合は、その旨をお伝えします。
最終確認日:2026-08-12
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療方針を示すものではありません。
※ 当院の再生医療・幹細胞培養上清液治療はすべて自由診療(保険適用外)です。表示はすべて税込です。
※ 効果には個人差があり、疾患の治癒や症状の改善を保証するものではありません。
※ 適応・限界・リスクについては、診察および検査結果をふまえて医師が個別に判断し、ご説明します。
※ オンライン診療で対応できる範囲には限りがあり、内容により来院をご案内する場合があります。