
iPS & Stem Cells
2026年3月、iPS細胞を用いた再生医療等製品が、世界で初めて承認されました。ニュースをご覧になって、「では自分も受けられるのか」「幹細胞治療とは何が違うのか」とお問い合わせをいただくようになりました。
この記事では、当院院長が動画で解説した内容をもとに、承認された2製品の中身と、iPS細胞治療と自家幹細胞治療の目的の違い、そして保険診療と自由診療の線引きをご説明します。
結論:目的が違うので、比べるものではありません
同じ「再生医療」という言葉でくくられていますが、狙っていることが違います。
- iPS細胞
- 失われた細胞・組織をつくって補う
- 自家幹細胞
- 体が持つ修復のはたらきを支える
※ 上記は目的の整理であり、効果を示すものではありません。
2026年3月に承認された2つの製品
厚生労働省は2026年3月、iPS細胞を用いた再生医療等製品2品目の製造販売を条件・期限付きで承認しました。iPS細胞由来の製品の承認は世界で初めてです。
- リハート対象:重症心不全開発:クオリプス(大阪大学発のベンチャー)
- アムシェプリ対象:パーキンソン病開発:住友ファーマ
「条件・期限付き承認」とは
治験に参加した患者数が少ない場合などに、安全性が確認され、有効性が推定できる段階で早期に承認する制度です。今回は承認期限が7年とされ、その間に実際の治療を通じて有効性を確認することが条件になっています。確認できれば、あらためて条件のない承認を得ることになります。
「効果が証明された」とは少し違います。条件・期限付き承認は、有効性が推定される段階で使えるようにする仕組みです。これから実際の使用を通じて確かめていく、という位置づけになります。
公的保険を適用するかどうかは、別途審議されるとされています。
iPS細胞とは何か
1つの受精卵から、すべてが始まる
人の体は、1個の受精卵から始まります。そこから神経ができ、血管ができ、臓器ができ、筋肉ができる。1個の細胞が、あらゆるものに分かれていくわけです。
受精卵は使えない。だから人工的につくった
「では受精卵を使えばよいのでは」となりますが、受精卵はそれ自体が生命であり、倫理的に用いることができません。
そこで、体の細胞を一度リセットして、同じようにさまざまな細胞へ分化できる状態を人工的につくり出したものがiPS細胞(人工多能性幹細胞)です。山中伸弥教授(京都大学)が開発し、ノーベル生理学・医学賞の対象となった技術です。
iPS細胞治療と自家幹細胞治療の違い
| iPS細胞治療 | 自家幹細胞治療 | |
|---|---|---|
| 目的 | 失われた細胞・組織をつくって補う | 体が持つ修復のはたらきを支える |
| 使う細胞 | 体の細胞を一度リセットしてつくる多能性幹細胞 | ご自身の脂肪から採取する幹細胞 |
| はたらき方 | 目的の細胞に分化させてから用いる | 投与後、自ら患部に向かうとされる |
| 現在の位置づけ | 特定の重い疾患を対象に承認(条件・期限付き) | 自由診療(保険適用外) |
| 当院での提供 | 行っていません | 行っています |
「特化してつくる」か、「自分で探して修復する」か
院長の説明では、iPS細胞は目的の細胞に特化させてつくるのが強みです。心臓の筋肉のかわりになるものをつくる、皮膚をつくる——そうした「つくって補う」使い方ができます。
一方、自家幹細胞は投与したあと、自ら患部を探して修復にはたらくとされています。神経・血管・臓器など、必要とされる場所で分化して修復に関わる、という説明です。これが自家幹細胞治療の特徴だと院長は話しています。
なぜ幹細胞を「補う」という発想になるのか
院長は、幹細胞が加齢とともに減っていくことを繰り返し挙げています。幹細胞が減れば、修復のはたらきも落ちていく。これが加齢による変化の一つだ、という見方です。
自家幹細胞治療は、その減った側を足すという考え方の治療です。当院ではご自身の脂肪から採取した幹細胞を院内CPCで培養し、点滴で投与しています。ただし効果をお約束するものではありません。
保険診療と自由診療の線引き
今回承認された2製品は、重症心不全とパーキンソン病という特定の疾患を対象としたものです。使用できる医療機関や条件も限られます。当院ではiPS細胞を用いた治療は行っていません。該当する疾患で治療をお考えの場合は、主治医または専門の医療機関にご相談ください。
当院が行っているのは、自家脂肪由来の幹細胞治療と幹細胞培養上清液治療です。いずれも自由診療(保険適用外)で、幹細胞培養上清液は医薬品医療機器等法上の承認を受けた医薬品ではありません。国によって有効性・安全性が確認されたものではない、という意味です。そのため効果をお約束することはいたしません。
自由診療に関する重要事項
- 未承認医薬品等である旨本治療で用いる幹細胞培養上清液は、医薬品医療機器等法上の承認を受けた医薬品ではありません。
- 入手経路当院の院内CPC(細胞培養加工施設)において製造した自院製剤を使用しています。医師の個人輸入によるものではありません。
- 国内の承認医薬品等の有無本治療と同一の成分・目的で国内において承認された医薬品はありません。
- 諸外国における安全性等に係る情報諸外国においても、本治療と同一の内容で承認された医薬品はありません。重大な健康被害が報告されている旨の情報は、当院として把握していません。
- 自由診療である旨本治療は自由診療であり、公的医療保険は適用されません。費用は全額自己負担となります。同一日に保険診療と併用することはできません。
- 効果の個人差効果の現れ方には個人差があり、すべての方に同じ結果が生じるものではありません。変化を感じられない場合もあります。
参考にした公的情報
本記事の制度に関する記載は、次の公的情報を参照しています。いずれも外部サイトが開きます。
- 文部科学省 大臣談話「iPS細胞を用いた世界初の再生医療等製品の承認について」2026年3月の承認についての国の公式発表。
- 科学技術振興機構 サイエンスポータル「iPS細胞使用の再生医療製品、国が初めて承認」承認された2製品の内容と、条件・期限付き承認の仕組みの解説。
- 厚生労働省「再生医療について」再生医療等安全性確保法の概要と、国の制度についての公式情報。
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)医薬品の承認審査「承認された医薬品」とは何かを確認できます。
よくあるご質問
当院でiPS細胞の治療は受けられますか?
「条件・期限付き承認」とは何ですか?
iPS細胞と幹細胞治療は、どちらが優れているのですか?
再生医療は保険が使えるようになりますか?
幹細胞は年齢とともに減るのですか?
なぜ受精卵ではなくiPS細胞なのですか?
自分にはどれが向いているのか、相談できますか?
動画でも解説しています
この記事は、当院院長と培養士が対談形式で解説した2本の動画をもとに構成しています。
① 世界初承認のニュースと、保険診療・自由診療の線引き(約11分)
② 受精卵とiPS細胞、そして幹細胞のはたらきの違い(約6分)
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最終確認日:2026-08-13
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療方針を示すものではありません。
※ 承認された製品に関する記載は、2026年3月時点の公表内容にもとづきます。最新の状況は所管の行政機関の発表をご確認ください。
※ 当院の再生医療・幹細胞培養上清液治療はすべて自由診療(保険適用外)です。表示はすべて税込です。
※ 効果には個人差があり、疾患の治癒や症状の改善を保証するものではありません。
※ 適応・限界・リスクについては、診察および検査結果をふまえて医師が個別に判断します。