
Long COVID and ME/CFS
感染から半年が過ぎても、倦怠感が抜けない。調べても「異常なし」と言われる。
この状態を、コロナ後遺症と呼ぶのか、慢性疲労症候群(ME/CFS)と呼ぶのか。似た症状のため混同されますが、成り立ちが違い、受診先の考え方も変わります。医師監修のもとで整理します。
コロナ後遺症と慢性疲労症候群の違いは何ですか
コロナ後遺症は新型コロナウイルス感染症のあとに続く症状の総称、慢性疲労症候群は原因を問わず強い倦怠感が長期間続く病態の名前です。きっかけがはっきりしているかどうかが、いちばん大きな違いです。
- コロナ後遺症
- 新型コロナ感染がきっかけ。罹患後症状、Long COVID とも呼ばれます
- 慢性疲労症候群
- ME/CFS。きっかけは感染症・過労などさまざまで、特定できないこともあります
- 症状
- 倦怠感・思考のもやもや・睡眠障害・痛みなど、重なる部分が多くあります
- 関係
- 別物ではなく、コロナ後遺症が慢性疲労症候群の診断基準を満たす場合があります

重要なのは最後の行です。二者択一ではありません。コロナ感染をきっかけに始まり、経過のなかで慢性疲労症候群として扱われることがあります。どちらの名前で呼ぶかより、いま何を確認すべきかのほうが実際的です。
コロナ後遺症とはどのような状態ですか
コロナ後遺症とは、新型コロナウイルス感染症の急性期を過ぎたあとも症状が続く、または新たに出現する状態を指します。厚生労働省は「罹患後症状」と呼んでいます。
報告の多い症状には次のようなものがあります。
- 倦怠感・疲労感
- 思考のもやもや、集中しにくさ(ブレインフォグ)
- 息切れ、長引く咳
- 嗅覚・味覚の異常
- 頭痛、睡眠の問題、脱毛
※参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 罹患後症状(後遺症)について」
多くの方は時間とともに改善していきますが、長期にわたって続く場合があります。症状が続く理由は、まだ完全には解明されていません。
慢性疲労症候群(ME/CFS)とはどのような状態ですか
慢性疲労症候群とは、休養しても回復しない強い倦怠感が6か月以上続き、日常生活に支障が出ている状態です。筋痛性脳脊髄炎(ME)とあわせて ME/CFS と表記されます。
「疲れやすい」という程度の話ではありません。それまでできていた活動ができなくなるほどの機能低下があり、検査では説明のつく異常が見つからないことが特徴です。
きっかけは感染症であることが多いものの、過労や強いストレスのあとに始まる場合もあり、特定できないこともあります。コロナ以前から存在する病態です。
労作後倦怠感(PEM)という共通点
労作後倦怠感(PEM)とは、動いたあと数時間から数日たってから、強い症状の悪化が起きる現象です。コロナ後遺症でも慢性疲労症候群でも報告されており、両者をつなぐ重要な手がかりとされています。
ここが、ふつうの疲労といちばん違うところです。
| 比較項目 | 一般的な疲労 | 労作後倦怠感(PEM) |
|---|---|---|
| いつ悪化するか | 動いた直後 | 数時間〜数日後に遅れて |
| 回復まで | ひと晩の休息で戻ることが多い | 数日〜数週間かかることがある |
| 運動の影響 | 続けると体力がつく | 無理をすると悪化しうる |

PEM がある場合、「体力をつけるために運動しましょう」という一般的な助言が逆効果になることがあります。ご自身に心当たりがある場合は、受診の際に必ずお伝えください。活動量の調整(ペーシング)という考え方が用いられます。
どちらなのかは、どう判断されますか
名前を決める前に、他の病気が隠れていないかを確認します。倦怠感を起こす疾患は多く、そちらであれば治療法が確立しています。
| 確認したいこと | 調べ方 |
|---|---|
| 貧血・鉄不足 | 血算・フェリチン |
| 甲状腺機能の低下 | TSH・FT4 |
| 肝機能・腎機能・電解質 | 血液検査 |
| 血糖の異常 | 血糖・HbA1c |
| 炎症・感染 | CRP |
| 睡眠時無呼吸 | 睡眠検査(いびき・日中の眠気がある場合) |
| うつ・不安 | 問診 |
※参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」。睡眠時無呼吸が疑われる場合の考え方が示されています。
これらは保険診療で調べられます。ここで原因が見つかれば、そちらの治療が優先です。すべて基準内で、それでも症状が続く場合に、あらためてコロナ後遺症や慢性疲労症候群という枠組みで考えることになります。
何科を受診すればよいですか
まず一般内科、またはかかりつけ医です。そのうえで、目立つ症状に応じて専門科へつなぐのが一般的な流れです。
| 目立つ症状 | 受診先の目安 |
|---|---|
| 息切れ・長引く咳 | 呼吸器内科 |
| 動悸・胸の痛み | 循環器内科 |
| 思考のもやもや・物忘れ | 神経内科・心療内科 |
| 嗅覚・味覚の異常 | 耳鼻咽喉科 |
| 気分の落ち込みが強い | 心療内科・精神科 |
お住まいの地域に罹患後症状の相談窓口が設けられている場合があります。自治体のウェブサイトで確認できます。
※参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 罹患後症状(後遺症)について」。都道府県の相談窓口の一覧が掲載されています。
次の場合は、様子を見ずに受診してください。安静にしていても息苦しい、胸の痛みがある、38度以上の発熱が続く、急に体重が減った、意識がはっきりしない。これらは別の疾患のサインである可能性があります。
再生医療はどこに位置づくのか
再生医療は、上記の検査をすべて終えたあとに検討する、選択肢の一つです。コロナ後遺症や慢性疲労症候群に対する確立した治療法として位置づけられているものではありません。
当院にご相談いただく方の多くは、複数の医療機関で検査を受けて基準内と言われ、生活も整えたうえで、それでも戻らないという段階の方です。
幹細胞治療や幹細胞培養上清液は、疾患の治癒や改善を保証する治療ではありません。効果には個人差があり、変化を感じられない場合もあります。有効性・安全性については現在も研究が進められており、現時点で確かめられている範囲には限界があります。標準治療の代替ではなく、補完的な選択肢として検討するものです。いずれも自由診療(保険適用外)で、費用は全額自己負担となります。
※参考:厚生労働省「再生医療について」。当院は再生医療等安全性確保法にもとづき届出を行っています(提供計画番号 PB3230270・PB32240141/細胞培養加工施設番号 FC3230067)。
いま受けている治療を中断して本治療のみを希望される場合、当院はおすすめしません。医学的に適応が乏しいと判断した場合も、治療をおすすめしないことがあります。
参考にした公的情報
- 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 罹患後症状(後遺症)について」罹患後症状の定義と、報告されている症状の公式情報。
- 厚生労働省「再生医療について」再生医療等安全性確保法の概要と届出制度。
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」休養と睡眠についての国の指針。
- 厚生労働省「医療広告ガイドライン」自由診療に関する記載事項の根拠。
よくあるご質問
コロナ後遺症と慢性疲労症候群の違いは何ですか?
コロナ後遺症の倦怠感はいつまで続きますか?
労作後倦怠感(PEM)とは何ですか?
コロナ後遺症で運動したほうがよいですか?
コロナ後遺症は何科を受診すればよいですか?
検査で異常なしと言われました。気のせいでしょうか?
コロナ後遺症に再生医療は使えますか?
まず何を調べるべきかから、ご説明します
初診(5,500円・税込)でお伝えするのは、適応の有無・期待できること・できないこと・確定した総額の4点です。
まだ調べていない検査があれば、そちらを先におすすめします。
医学的に適応が乏しいと判断した場合は、治療をおすすめしないこともあります。
ご希望の日時は選択式で、第2希望までお選びいただけます。お申し込みのあとで、その場で治療をお決めいただく必要はありません。
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最終確認日:2026-08-30